【特集】杉浦理史 インタビュー

更新日:2月3日

1. 杉浦理史のプロフィール

愛知県岡崎市出身。

脚本家、放送作家、作詞家、プロデューサー。

23名の作家が所属するマネジメント事務所「PTA Inc.」の代表。


杉浦理史の主な仕事

脚本家

映画「しまじろうとそらとぶふね」脚本

アニメ「ウマ娘 プリティダービー」シリーズ構成、脚本

アニメ「刀剣乱舞-花丸-」シリーズ構成、脚本

アニメ「ばらかもん」シリーズ構成、脚本

アニメ「おしりかじり虫」シリーズ構成、脚本

放送作家

NHK Eテレ「シャキーン!」

NHK Eテレ「天才てれびくん」

NHK Eテレ「ノージーのひらめき工房」

日本テレビ「金曜ロードSHOW!」

NHK Eテレやベネッセ・コーポレーションの教育バラエティを得意としています。


2. どのようにして放送作家になったのか。 「夢を叶えたい人はどんどん言った方がいい。」


まず初めに放送作家になられた経緯をお教えください。

日本大学藝術学部演劇学科を卒業して、20代は仲間と作った劇団で演劇活動をしていました。 小劇場で、堺雅人さん、ムロツヨシさん、吉田羊さん、片桐仁さんと共演したこともあります。 芸能事務所は「ザズウ」「太田プロ」に俳優として所属して、テレビドラマや映画に出演していました。

30歳になった頃、演じることに壁を感じて、俳優という仕事が一生の仕事にはならないかもしれない、とぼんやり思えてきました。それと同時に、劇団時代に書いていた脚本作業が楽しかったことを思い出して、「脚本家になりたい」「放送作家になりたい」と公言していました。 NHK Eテレの小学生向け教育番組「シャキーン!」が立ち上がるということで、放送作家を広く募集しているという噂を運良く聞きつけ、企画をたくさん持って行きました。企画がいくつか採用され、初めてテレビ番組に放送作家として携わることができました。

今思うと、言霊かもしれませんが、いろんな人に「放送作家になりたい」というのは効果があると思います。言ったことで情報を得たので、放送作家になりたい人、夢を叶えたい人がどんどん言った方がいいですね。



その後、脚本家になられたきっかけは?

「シャキーン!」をきっかけに「天才てれびくん」などNHK Eテレの番組を多く担当しました。 新たにNHKアニメ「おしりかじり虫」が始まる、ということで脚本家として採用していただきました。

アニメ「ばらかもん」についてお聞かせ下さい。

「ばらかもん」は深夜アニメで初めてシリーズ構成、脚本を担当した作品です。 原作の良さを抽出して12話全体を構成する、という経験は今でも私のストーリーづくりの根底に流れています。


大ヒット中のアニメ「ウマ娘」のシリーズ構成と脚本も担当されていますね。決まった時の心境は?

「刀剣乱舞-花丸-」でゲームをアニメストーリーにする経験がありましたが、「ウマ娘」はゲームがまだ世に出ていなかったので、ゲームの世界観と整合性を取ることに苦労した覚えがあります。史実を踏まえたオリジナルストーリーなので、だいぶ自由に書かせてもらいました。1期のサイレンススズカの怪我、2期のライスシャワーの天皇賞・春は、書きながら自分でも涙が出そうでした。



3. 多才なメンバーが集まる作家事務所について。

「得意分野の異なる何でもこなせる集団です。」


続いて、ご自身が経営される株式会社ピタについてお聞かせ下さい。

会社設立は2014年。2017年の時、メンバーを15名集め、今は23名の脚本家、放送作家、漫画家が所属しています。 また映像制作部もあり、TV番組「ダーウィンが来た!」やチャンネル登録数150万人を超えるYoutubeチャンネルの撮影・編集を担当し、月に30本以上を納品しています。


なぜ脚本家集団を作ったのですか?

理由は3つあります。

一つは、簡単に言うと、自分にきた仕事を断りたくなかった、というのがあります。当時、私がテレビやラジオ番組の構成12本、アニメ脚本3本と忙しくなってきた時に、俳優時代から仲が良かった市川十億衛門くん、番組で知り合った佐藤慎司くんにサポートしてもらっていました。彼らも忙しくなり、もっと人を増やして組織的にやっていきたいと思い、知り合いから声をかけてまずは15名集めました。得意分野が違う15名で何でもこなせる集団です。


二つ目は、ハリウッドのように集団で書くスタイルに興味があったためです。ハリウッドは一つの作品に10名以上の脚本家が携わっていると聞きます。一人の天才が考えるストーリーより、個性の違う様々な作家が知恵を出し合ったストーリーの方が魅力的になりそうなのは、想像ができます。日本も世界と戦うのであれば、こういったスタイルが主流になって来るかもしれません。そんな時代が来た時のためにも、集団で創作できる環境を作りたいのも一つの理由です。


三つ目は、フリーの放送作家・脚本家は何かと便利に使われてしまう、という点です。プロデューサーなどから企画書やプロットを「チャンスだから書いてくれない?」と無償で言われることがよくあります。また、書いて世に出たのに無報酬、ということもよく聞く話です。自分では難しい交渉も、会社組織に所属していれば交渉は任せられますし、放送作家・脚本家としての地位も守ってくれます。


所属メンバーはどのようなご活躍をされているのでしょう。


市川十億衛門

アニメ「けだまのごんジロー」「ゲゲゲの鬼太郎」など



佐藤慎司

NHK「ノージーのひらめき工房」構成作家

アニメ「アースグランナー」脚本など


ブラジリィー・アン・山田

映画「事故物件 怖い間取り」

作詞「HAPPY!」歌・氷川きよし

米内山陽子

 映画「思い 思われ ふり ふられ」

アニメ「ウマ娘 プリティダービー」


 他、アニメでは「ドラえもん」「シルバニアファミリー」「パウパトロール」など。

 構成作家の吉田大吾、宮地ケンスケ、ハシモトコーキはTV番組、Youtube番組を多く担当しています。


4. ヒット作を手掛ける杉浦さんのプライベート。 「できるだけ家族と過ごすようにしています。」


休日はどのように過ごされていますか?

小4と小1の娘がいるので、習い事の付き添いをしたり、外食をしたりしています。平日は妻に任せっきりなので、できるだけ家族と過ごすようにしています。


趣味や息抜きの方法を教えて下さい。

仲間と麻雀やサウナ、ゴルフに行ったり、キャンプやグランピングなど、できるだけ携帯やパソコンから離れるようにしています。

映画はあまり観ないですね、仕事モードになってしまうので。


好きな作品やキャラクターなどはありますか?

藤子・F・不二雄先生の「SF短編集」は昔から好きです。 1話1話にアイデアが詰まっているところが魅力的で、自分にとってもバイブルとも言える作品です。他にも、ギャグ満載で登場キャラクターも可愛いミニオンズも好きですね。


5. まだまだ活躍が期待される杉浦さんの今後について。 「書く力で世界をより良い方向へ」


杉浦さん個人の目標をお聞かせ下さい。

刀剣乱舞やウマ娘はゲーム会社のIPが元にあり、そのストーリー業務を担ってきました。 その経験を生かして、私のIP、会社のIPを作ってそれをアニメやゲーム、漫画などメディアミックスさせて流行語大賞を取るような大きなIPを作りたいです。そのためのアイデアはたくさんあります。


続いて会社の目標を教えて下さい。

ディズニーやミニオンズを手がけるイルミネーションは一つの作品を作るのに脚本家が10人以上います。様々な得意分野を持った脚本家が集まって知恵を出しながら作るハリウッド式の脚本体制に興味があり、それができる唯一の会社だと思っています。

日本人初のハリウッド脚本を、PTA Inc.のメンバーで作成するのが私と会社の夢です。


会社の代表としてのお考えは?

顧客満足度は社員満足度に比例すると、ある経営者が教えてくれました。 画面の向こうにいる視聴者のことを考えるのはもちろんですが、私はその前に、軽く見られがちな脚本家や放送作家の地位をしっかり確立して、プライドを持って仕事をしてほしい。良い企画、良い脚本は、健全な作家から生まれます。作家一人一人の夢を叶えたいです。映画脚本が夢であれば、それを叶えたい。各作家の幸せがあり、その先に視聴者に幸せを与えたい。会社として、作家が仕事に集中できる環境を作りたいと思っています。

それができたら、日本に限らず、世界の人をあっと言わせるストーリーを作りたいです。我々が作るストーリーで、少し大げさですが、生きる希望を持つことができたら嬉しい。 実際にこれまで「このアニメを見て自分も頑張ろうと思った」「勇気が出た」「笑って元気をもらった」という言葉を目にし、その度に我々は大きなやりがいを感じます。そんな人を一人でも多く増やすことができれば、もしかしたら戦争さえなくなるかもしれません。人を幸せにするために我々はストーリーを作ります。書く力で世界をより良い方向へ導きたいと考えています。


(今回は杉浦理史さんから放送作家・脚本家にどのようにしてなったのかを中心に今後の夢や抱いている思いなどを伺うことができました。「書くこと」に対する正直な思いやこれまでの経緯、今後の目標からは常に夢を追い続ける情熱が伝わってきました。夢を叶えるために何より大切なのは、自分を信じ続けることかもしれませんね。)